『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』

これはすごい本。


「人間の遺伝子は旧石器時代からさほど変わっていないのに、社会だけがすごい勢いで変わった。言語運用能力や論理数学的能力という一部の能力が高い人だけが有利な世の中になってしまった。

これは確かに不公平だし、お金を稼げる人、稼げない人という差は否応なしに出てしまいます。でも、だからといって社会が変わるのを待っていてもしょうがない。だったら個人レベルで生き延びる方法を探すしかない。それが僕の言いたいことです」

――その方法としてこの本で提唱しているのが「伽藍を捨ててバザールに向かえ!」「恐竜の尻尾の中に頭を探せ!」。詳細は読んでのお楽しみですが、その根底にあるのは、稼ぐことと幸福はイコールではないという思いですね。

「貨幣というものができたのはほんの1万年前くらいですから、人間の遺伝子は『金を稼ぐこと』で幸福感を得られるようにはできていない。人間は社会的な動物なので、『共同体の中で承認されること』に幸福を感じ、村八分にならず生き延びた個体が子孫を残してきたはずです。

だから、現代社会でも最低限暮らせるだけの金を稼ぎつつ、他者からの承認を得ることで幸福は感じられるはず。特にインターネットのある現代では、そんな生き方が最も現実的なんだと思います」